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子供がサッカーを嫌いになる日2014/11/09 06:00

Facebookは色んな情報が溢れています。原文をそのまま紹介します。考えさせられる記事ですね・・・・

子供がサッカーを嫌いになる日 ~市井の指導者からの叫び~(鈴木康浩)
投稿日: 2014年01月10日 16時55分 JST 更新: 2014年03月11日 18時12分 JST
『大人本位の指導が子供の未来を奪う』

きっかけは編集部に送られてきた一通のレポートだった。送り主は千葉県のサッカースクールで指導をする山口武史氏。ジュニア年代における育成現場を詳細に分析すると同時に、そこには切なる思いが込められていた。

「指導者が教えすぎている。このままでは子供がダメになってしまう」一体"教えすぎ"とはどういうことか? そしてなぜ子供はダメになってしまうのか? 現場レベルで起こっている問題点を探るため、山口氏を訪ねた。
【サッカー批評issue57】掲載

■ 指導者の"熱心"な声に萎縮する子供たち
 千葉県内でジュニア年代のスクール「ソラ」を営む山口武史氏は、ジュニアの現場で繰り返される現状に憤まんやるかたない想いを抱き続けてきた。

スクールの多くの子供たちはそれぞれのチームに所属していた。ある日、スクールに通う子供の変化に気づいた。それまではピッチを動き回って伸び伸びとボールを追いかけていた子供が、あるときを境に、失敗を恐れるように仲間の陰に隠れて、消極的なプレーばかり見せるようになった。

ゴールを決めてもまったく喜ばない。凍りついたような目をしている。山口氏は不審に思い、その子供が所属するサッカーチームの試合をこっそりと覗きに行った。
(またか)
そこで山口氏はため息をつく。「1メートル右!」「2メートル前!」ベンチでチームのコーチらしき人物が指示を出し、ときには怒鳴り声をあげていた。見れば、DFの3人が綺麗なラインを整えている。「今のちょっとズレていたよなあ?」「今のは良いポジションだったぞ」

そのコーチはわざわざピッチサイドの父母たちが聞こえるように大きな声で指示を出していた。俺はサッカーをわかっているんだぞ、と言わんばかりに。指示をされている子供は小学2年生だ。

子供は何か言われるたびに困惑し、挙げ句、ベンチを見ながらプレーしていた。子供がパスを回そうとするときも、そのコーチは子供のファーストタッチが気に入らないのか、今度は、「今のトラップは方向が逆だろ?」「それも逆だよなあ?」

プレーを否定する言葉の数々。子供が萎縮しているのがはっきりとわかった。(これじゃあ、子供が死んでしまう!)怒りが込み上げてくる思いだった。

「昔からベンチで怒鳴って子供をロボットのように扱う指導者はいましたが、今は専門用語を使っているだけで根本的なことは何も変わっていないんです。『今のタイミングで出さないとダメじゃないか!』なんて強制されても、子供が判断する選択肢はいくらでもあるのに......。よく見ていると指示するタイミングもズレているから戦術的にも間違っているんです。

子供は何が正しいのかがわからなくて、まったく理解ができずに大人の顔色を気にしてプレーしている。楽しいわけがない。そういう環境の中で、子供はだんだん自信をなくして目が死んでいくんです」

山口氏は、そういう経験をしてしまった子供の回復を心から願い、もう一度伸び伸びとボールを追えるようにと、可能なかぎり子供に寄り添って指導してきた。2005年の開校から一日も休まずにだ。

「ここの子供たちはふざけさせてあげるんです。普段がそうだから、本当は練習しないといけないときに、僕と離れないでずっと話をしたがるんです。練習する上では非効率なんだけど、普段の状況を考えれば、この子供たちの成長を考えれば、そういう会話も必要なんだなと思うんです」

だが、ついに心を開かせることができず、傷心のままサッカーを辞めてしまった子供も少なくなかった。ある子供は父親に「僕、もう少しここに早く来ていたら、サッカーを辞めずに済んだのかな......」。そう打ち明けたという。「あの子には少なくとも気持ちは届いたかもしれない。でも、僕の力が足りなかったんです......」。山口氏はインタビュー中、悔しさに涙を滲ませる一幕もあった。

■ 現場から聞かれる協会への不満
 ジュニア年代の現場を取材していると、この手の子供を萎縮させてしまう指導者は少なからずいる。山口氏は「全体の8割」だと感じている。四種ジュニア年代は、他のカテゴリーに比べて圧倒的にボランティアの指導者が多い。

アマチュアゆえに首を切られる心配はないが、結果を求め過ぎる父母たちの圧力はある。特に若い指導者はそのマネジメントが極めて難しい。「下手をすれば丸め込まれ、潰されてしまう」と懸念するベテラン指導者は少なくない。

筆者自身、ある少年チームのコーチをしているが、20年以上の指導キャリアがあるチームの監督は、この手の指導者が率いるチームと対戦するとき、結果を求める父母たちを牽制する意味もこめて、「この試合は負けるよ。でも子供の良いところを探そうね。勝ちを急ぐ必要はないよ」と、あえて伝えることがある。

当然、負けたくない気持ちもあるし、実際に負ける痛みも感じている。その代わりに、育成年代の指導者として大事なものを握り込むのだ。

一方、ベンチで指示を出し続けて勝利を手にした指導者は安堵し、一時の戦果に父母たちは酔いしれる。しかし、幸福なのはそのときだけだ。

ロボットのように扱われた子供は、思考がフリーズし、自ら判断して物事を選択する力を養うことができない。その子供のサッカーキャリアには早くも黄信号が灯る。

日本サッカー協会もプレイヤーズファーストを掲げているが、山口氏は「もっとはっきりと発信してほしい」と感じている。

「指導者が読むべき物も発信しているのですが、実際に現場を見て、これは違う、と言ってほしいんです。現場のこの酷い状況も十分に知っているはずなんです。サッカーが好きで良い指導者になりたいと思っている人も多いから、上の立場の人に言われて初めて自分の間違いに気づくこともあるのかもしれないから」

実際、"現場"の指導者と日本サッカー協会の隔たりは深い。取材で出会う街クラブの指導者は「協会は、トレセンからエリートさえ拾い上げられればそれでいいんですよ」と口を揃える。当然ながら、日本サッカーの底辺の土壌を耕しているのは、年間1人当たり900円の登録費を払って日本サッカー協会を支えつつ、土日返上で献身的にエリート以外の子供も指導している全国約8500の街クラブだ。

「協会が現場に来たこと? 全国大会の何試合かだけでしょ」と、ある東京都の指導者は首をすくめてみせた。

■ 指導者が教えるよりも大事なこと
山口氏は、かつてサッカー協会主催の指導者講習会に参加したときも違和感を覚えた
「参加者の中には、サッカーの勉強を一生懸命して戦術論では負けませんよ、という人も結構いるんです。

でも、ジュニア年代に大事なのはコーチングのスキルではなく、その前の部分、コーチングの対象の子供なんです。僕らが学ばなきゃいけないのは子供がどういう生き物なのかという部分。逆にその姿勢さえあれば子供の指導は十分にできる。講習会はその部分の指導がすごく薄いと感じた」

山口氏の指導者C級ライセンスは現在失効している。
「費用や日程をかけて講習会に出てライセンスを保持することと、そのお金で子供たちに道具を買ってあげたり、この前あんなことがあった子供の試合をしっかり見てあげること、そのどちらが大事か」を考えれば自ずとライセンスは不要になった。大事なことは、子どもがサッカーを楽しめるかどうか。極めてシンプルだ。

「公園で遊ぶサッカーに楽しめる要素が全部入っていると思うんです。2人でのボールの取り合いから始まって、ボールを突っついたら面白い。次はゴールつけてやろうよとなる。遊びでやっていれば、ボールをバンと蹴ってしまったら面白くないこともわかる。その中で楽しむために技術を身につける。キックやドリブルやワンタッチなどの技術です。

大事なのは戦術ではなくて、まず子供が自由に伸び伸びと動けることです。そうやってサッカーが大好きになって、1年経って2年経って、ここで守っていた子供がここに行ってもいいんだ、こんなにゴールが奪えるんだ、ということを知る。その上でポジションを決めて、チームでもっと力を活かそうよ、となるんです。

後ろの子供は遊びの中で攻撃も経験しているから、いま攻めたら危ないことも知っている。ゴールを奪う難しさを後ろの子供もわかっている。前と真ん中と後ろでは全然視野が違うことも知っている。

そこまでわかっていれば、後ろの子供が前の子供のミスを誤った形で指摘することもないんです。前の子供も後ろの子供の悔しさがわかるから、失点をすぐ責めたりすることもない。子供は今何をどうすればいいのかを自分で考えるようになるんです。

するとチームとして何かをやろうという気持ちも芽生えてくる。GKがミスをしたら、あいつ悔しいよ、絶対得点を獲ってやろうよ! となるんです。

子供は遊びの中の、楽しい、悔しい、から色んなことを覚えていくもの。だから、指導者が教えるというよりも、子供が自分で見つけることが大事なんです。興味を持ってくると本を読んだりもする。教えてもいないのに、低学年でもインステップでしっかり蹴られる子供が出てくるんです」

全国の街クラブに、山口氏のように子供のことを真剣に考えられる質の高い指導者がもっと増えたならば、日本サッカーはどれだけ底上げができるだろうか。

スペインでは、各地域の主要クラブのディレクターという存在が地域の指導者を指導し、指導者の質を担保している。日本の場合は、指導者の指導を実践している地域の協会もあるが、これは制度や文化としてまだ充分に確立したものではないため、やはり指導者のモラルに頼るほかないのが現状だ。

■ 目先の勝負に拘りすぎないために
大人本位で考えている指導者が目先の勝負に拘り過ぎないための方策として、全日本少年サッカー大会のようなジュニア年代に影響力のあるチャンピオンシップを廃止して、目先の勝負への拘りが緩和される年間リーグ戦へ完全移行すべき、という声もある。実際、四種ジュニア年代は各都道府県に年間リーグ戦の導入も進み、その下地は少しずつ出来つつある。

しかし、これまでの制度の中で長年指導を繰り返し、山口氏のような指導スタンスに行き着いた指導者も数多くいるだけに、制度設計を議論することはあくまで補助的なものかもしれない。大事なことは、本腰を入れて指導者の意識へ働きかけることであり、継続的なアナウンスだろう。

最近ではジュニア系のサッカー専門誌が、子供の判断力や自立心の重要性を説く機会も増えている。しかし、ある編集者は「大人本位で考えているような指導者には、こちらの意図するものが届いたという手応えがあまりないんです。おそらく熱心に本を読んで勉強されるわけではないと思うので」と嘆いていた。

そんな八方ふさがりの現状を打ち破ろうと、今回、山口氏はサッカー批評編集部に電話をかけ、さらに19ページに及ぶ詳細なレポートを送ってこられた。サッカー界で働かれている方の、勇気のある行動だと感じた。

「子供たちが苦しんでいるのに、これまで僕が訴えても何も変わらなかった。『あなた、選手じゃないんでしょう?』と言われてしまう。僕が直接チームの指導者に横から口を出すわけにはいかない。それで子供がチームから追い出されてしまったらダメだ。じゃあどうする。協会と戦うことになるのか。僕らの協会と言えば地域の協会だけど、そこに言っても全国の状況は何も変わらない。

その上は日本サッカー協会だけど、市井の指導者である僕には戦えない。じゃあ日本サッカー協会とまともに戦えるところはどこだ。それでレポートを送らさせてもらったんです。とにかくここまでは来てほしかった。話だけでも聞いてもらいたかった。

僕の中で戦っていると思う媒体に現状を載せることができたら、正しいと思ってもらえる人が増えるかもしれない。お前は間違っている、サッカー協会はこう言っているじゃないか、というのを崩せるかもしれない」

ジュニア年代の指導者に大事なことは、目先の勝利だけに目を奪われることなく、子供の成長を長い目で見られるかどうかだ。子供が将来プロになる・ならないに関係なく、サッカーから学んだことを武器に、たくましく社会を生き抜ける人間に育てられるかどうかが、育成に携わる指導者の本当の勝負ではないだろうか。

子供に教えすぎてしまう指導者の「勝負に勝ちたい」「子供を勝たせたい」という気持ちはよくわかる。日頃の献身も知っている。

それでも、子供への愛情の注ぎ方を今一度再考されることを切に願う。それだけで、サッカーが大好きな子供たちが救われる可能性があるのだから。



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